「英単語の暗記法」短期記憶から長期記憶へと定着させる11のコツ

 

今回は、英単語を必ず暗記できる「科学的根拠に基づいた11つのコツ」をご紹介します。人間の短期記憶から長期記憶へと英単語を保持する「その方法」とは…!?

 

今回は言語学の研究結果に基づいた「単語を長期記憶に保持する11つのコツ」について書いていきます。”単語を知っている”という異なる程度、記憶のメカニズム、英単語を暗記する11つのコツ、の順で書き進めます。

 

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参考文献:Scott Thornbury “How to teach vocaburary”, Pearson

 

単語を理解するという事とは?

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「単語を知っている」「単語を理解している」と一言にいっても、その理解度には程度がありますよね。単語を知っているか、知らないかの2択ではなく、どのくらい単語を知っているのかという程度にはいくつかの種類があります。

 

一般的に「知識」には「能動的知識」と「受動的知識」の2種類に大きく分けられますが、言語学ではさらに深いところまで明らかになっています。

 

能動的知識(Productive knowledge)は主体的に知識を生産(アウトプット)することができ、受動的知識(Receptive Knowledge)はアウトプットはできないが理解(インプット)はすることができる知識のことを指します。

 

英語では単語への理解度の度合を”Depth”=”深さ”として表現しています。ある単語への理解はどれだけ深いのか、どれほどの程度でその単語を知っているのか、ということを表しています。

 

参考文献の中で、具体的な6つの「理解度」が示されているので、早速それを紹介したいと思います。

 

1 ためらうこともなく、理解することができ、またスピーキングにおいてもライティングにおいても単語を使うことができる。

2 理解し使うことができる。しかし、不規則な文法の形式について考える必要がある。

3 理解し使うことができるが、イディオムなどの不形式の場面においては分からない。

4 文脈においてのみ理解することができる。また、刺激されれば(頭文字が分かれば、ヒントがあれば)使うことができる。しかし、正確な発音の強調などについては自身が持てない。

5 文脈においてのみ理解することができる。ヒントがあっても使うことはできない。

6 おそらく、文脈で理解することもできないし、使うこともできない。

 

少し分かりづらい文章かも知れませんが、多くの方はこの6つのDepthに共感が持てると思います。

 

簡単に理解でき使うできる単語もあれば、理解できるし使えるけど、発音とか形式(ed,ing,etc)には自信がない、理解できるけど使えない単語、なんとなく知っている単語などなど。

 

「単語を知っている」と言っても様々な種類や程度がありますよね。

 

もちろん、理想は1「ためらうこともなく理解できるし、使える」という状態が望ましいですが、いきなりその段階に持っていくのは難しいと思います。

 

前提としては、徐々に復習をしていくなかでまた何回も繰り返しその単語を目にすることによって、より定着していき、さらなる”Depth”に単語が入っていきます。

 

また後ほど「英単語を長期記憶にいれる11つのコツ」でも詳しく書きますが、単語の理解度・使用度を深めていくにはそれなりの工夫が必要です。

 

その前にまず「記憶のメカニズム」を理解してから、具体的な方法をみていきましょう!

 

記憶のメカニズム

memory-vocabulary

一度覚えた単語なのに、少したったら忘れてしまう…単語の意味も思いだせない…

 

人間とは忘れる生き物です。

 

一度勉強したことでも、時間がたってしまえばほとんどの事は忘れられます。英語もしかり、留学から帰ってきて何年も英語に触れなければいつか忘れてしまいます。

 

なぜそのようなことが起きるのでしょうか?それには記憶のメカニズムを知っておく必要があります。

 

大まかに記憶には「短期記憶」と「長期記憶」の二種類があります。

 

言語学において、「短期記憶」(short-term store)は、ごく限られた数の項目、数秒間という短期間だけ記憶に保存される脳の場所を意味します。一方、「長期記憶」(Long term memory)は、記憶の巨大な保存量を持ち、そして記憶された内容が時間が経っても保持するファイリングシステムようなものです。

 

言い換えると

 

短期記憶にはごくわずかの情報しかはいらず、さらに短期間しかその記憶が保存されません。一方で、長期記憶は大量の情報を長期間保持することができる巨大なファイルのようなシステムを持っています。

 

例えば、短期記憶の場合、電話番号やラインのIDを一時的に頭の中に記憶するようなことと同じです。友達などに電話番号やラインのIDをその場で教えてもらって、一時的に暗記します。

 

一度聞いたらそれをそのまま暗記し、記憶することはできますが、数秒後にはもう忘れていますよね?

 

逆に、自分が友達に電話番号やラインのIDを教えたときに、その友達がそれ以降、その情報をずっと覚えていたらめちゃめちゃ怖いですよね(笑)もしそんな友達がいたら、あなたのストーカーかもしくは相当な記憶力の持ち主のどちらかでしょう。

 

優れた英語学習者なら、ただ情報を短期間保持するのではなく、長期間記憶を保持することができます。

 

しかし、長期記憶に英単語や情報がはいったからといって絶対的に安心はできません。なぜなら、長期記憶に一旦情報がはいっても一定期間が経つと、忘れてしまう場合があるからです。

 

長期記憶にいれてからも、その記憶を保持し、維持していく工夫や努力も多少必要があると言えます。いまから言語学の研究でも明らかになっている、英単語を長期記憶にいれた上でそれを保持する11つのコツをご紹介します。

 

単語を長期記憶に保持する11つのコツ

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ここでは研究結果で明らかになった英単語を長期記憶にいれて保持する具体的な11つのコツをご紹介します。情報量がどうしても多くなってしまったので、分かりやすく、簡潔にするために基礎編(1~4)、実践編(5~7)、応用編(8~11)に分けてみました。

 

基礎編(1~4)

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1 Repetition(繰り返し)

まず1つめのコツは、一度勉強したことがある単語を何度も見直すこと。例えば、リーディングをしている時などに、一度習った単語と再度出くわすことによって記憶の定着につながります。研究によると、一定の期間を空けて既に知っている単語に7回出くわすと記憶の定着率がかなり高まると言われています。

 

 

2 Retrieval(回帰)

2つめのコツは、単語を思い出そうとすること。習ったことがある単語を記憶から取り出そう(回収)とする行為は記憶の定着率につながります。例えば、文法の穴埋め問題などで埋まっている単語を自分の記憶から引き出そうとすることは効果的です。

 

3 Spacing(配分)

3つめのコツは、分配された期間で学習すること。一度に多くの単語を学ぶのではなく、少ない単位で単語を学び復習をし、その後にまた新しい単語を学ぶといったように、分配した期間で単語を学ぶ方法です。

 

例えば、学校の新出単語のテストがありますよね。Spacingに従うと、まず3単語を学んだら、すぐに次の新出単語に進むのではなく、また最初に学んだ3単語を復習して、次の単語に取り掛かるといった具合です。

 

成功例)新しい単語→復習→新しい単語→復習→新しい単語…失敗例)新しい単語→新しい単語→新しい単語→復習。こまめに復習というプロセスを取り入れると効果がありすですね。

 

4 Pacing(ペース)

 4つめのコツは、自分のペースで学習すること。英語学習者にはみな自分のペースがあります。新しい単語を理解するのにもしくは復習するのに掛かる時間も人によってバラバラです。周りに囚われず、自分のペースを崩さないで単語を勉強していく・整理していくといった姿勢も大切なことです。

 

実践編(5~7)

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5 Use(使用)

5つめのコツは、単語を使うこと。アクティビティなどを通して実際に単語を使ってみることは、英単語を長期記憶に定着させる大きなコツとなります。最近では、言語交換アプリやチャットアプリ、オンライン英会話サービスなど気軽に英語を使用できるツールが豊富にあるの存分に活用できそうですね。

 

6 Cognitive Depth(認知の深さ)

6つめのコツは、意思決定をすること。単語に関する意思決定をすることよって、単語は記憶に定着しやすくなります。単語テストやクイズなどで、どの単語がどのセンテンスに当てはまるのか、どの単語の組み合わせがマッチするかなどと認知的に意思決定をすることは語彙の定着に貢献します。

 

7 Personal Organising(個人化)

7つめのコツは、自分で例文を作ること。ある研究結果では、単語を黙読した被験者より、声に出して単語を読んだ被験者の方がより記憶がよいとされました。しかし、それよりも自分で作った例文を声に出して読んだ被験者の方がより記憶の定着が良いという事がわかりました。

 

応用編(8~11)

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8 Imaging(想像)

8つめのコツは、単語に連想するイメージを描くこと。実は、先程の被験者の中で最も良い結果を示したのは「単語に関連したイメージを描け」と命令された被験者でした。

 

さらに、別の研究では、直ぐにイメージができないような単語よりイメージを描きやすい単語の方が、学習者にとって覚えやすいという結果も出ています。想像力があるかないかの問題ではなく、とにかく自分自身で描いたイメージであれば、単語は定着しやすいと言われています。

 

9 Mnemonics(記憶術)

9つめのコツは、記憶術を使うこと。自動的に回収できない記憶、単語や文法などを回収可能にするトリックがいくつかあります。記憶術にはスペリング・ルールやキーワード・テクニックなどがありますが、一番効果があるとされているのは、視覚を用いる方法です(8 Imagingを参照)。ネイティブスピーカーでさえも単語などを忘れてしまうことがあるので、記憶術を使います。

 

10 Motivation(動機付け)

10つめのコツは、モチベーションを高めること。「新しい単語を学びたい」という動機が必ずしも単語を暗記するという保証になることはありません。しかし強い動機があれば、単語の練習や復習に費やす時間が必然的に増えていきます。その努力の見返りとして、記憶の定着率につながります。

 

11 Attention(注意)

そして、最後となる11つめのコツは単語自体に注目すること。寝ている最中に単語の勉強をすることはできません(睡眠中にテープを聴くなど)。しかし、ある程度の単語に対するアテンション(注意、注目)は大切なことです。単語に対する高い注目度は記憶の定着を強めます。数回しか聞いたことがなくても相手を罵倒するような表現は記憶に残っている、みなさんにもきっとそんな経験ありますよね?

 

まとめ

いかかでしたでしょうか?今回は科学的根拠に基づいた「短期記憶から長期記憶へと定着させる11のコツ」をご紹介しました。言語学の専門用語なども出てきたので少しわかりづらい部分もあったかと思いますが…

 

上記のコツの中から「なにか1つでも自分にあった学習法」や「今後の英語学習に使えそうなもの」を見つけて頂ければ幸いです。また、最後に11つのコツで紹介した専門用語(英語)をリストアップしておいたので、単語を勉強する前はもう一度眺めてみてくださいね!

 

1 Repetition(反復)

2 Retrieval(回収)

3 Spacing(間隔)

4 Pacing(ペース)

5 Use(使用)

6 Cognitive depth(認知度)

7 Personal organising(個人作成)

8 Imaging(想像)

9 Mnemonics(記憶術)

10  Motivation(動機)

11   Attention(注目)

 

 

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りょーた
高校生の時に2か月間のフィリピン留学をしてTOEIC900点をゲット➡デラサール大学に8ヶ月交換留学➡現地密着型のエージェント「e-student」を設立。これまでに現地の学校を15地域・80校以上視察、3校に語学留学、2校でインターンを経験しました。

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